会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】

緒方くんが必死に間を取り持とうとしてくれますが、私が文句あるのは自分自身なのです。けいちゃんと喧嘩している気はありません。

「あー、頑固と頑固の喧嘩ってこんなめんどくせえのかよ」

「「頑固じゃない!」」

「もう黙って⁉」

緒方くんに怒鳴られてしまいました。けいちゃんのせいです。

「あ、いたいた。幹―、蔦子―」

あん? 誰かが蔦子先輩と緒方くんの名前を呼びました。

「「時兄⁉」

ときにい? どっかで聞きましたね……。あ、緒方くんのお兄さんでしたっけ――げ。

校門の外でこちらを見て手を振っている男性がいましたが、見覚えがありすぎる顔でした。

え、なんで? いやなんでもくそもないです。そうだとわかれば納得がいきすぎるこの頃の展開です。やべえです。冷汗が出ます。

ちらっとけいちゃんを方を見ると、私の同じ考えに至っているのか、顔色が悪いです。

それからちらっと私の方を見てきました。

うん、そうですね。こうなれば私たちがやることは一つ。けいちゃんに向かって肯くと、肯きが帰ってきました。

――逃げる!

「ちょ――っと待ちなさい。朝宮、蘭」

うぐっ。私の後ろ襟首を蔦子先輩が、けいちゃんの後ろ襟首を緒方くんが掴んで私たちの逃亡を阻止してきました。

そんな体たらくの私たちを見て、「ときにい」と呼ばれた男性が何かに気づいた顔をしました。

「あれ? 湖月お嬢さんとその彼氏さん?」

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