会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「おい蘭、今のセリフが出るってことは、やっぱりあいつらお前に――」
「会長。しつこい男は嫌われますよ?」
にっこり笑顔付きで言うと、会長は口を引き結びました。
……さっさと腕離してくれませんかね。今度はセクハラ会長って呼びますよ?
私はにこにこ笑顔を保ちながら会長が手を離してくれるのを待ちます。
振りほどいてもいいんですが……会長から離してもらった方が色々と穏やかですので。
しかし会長は手を離さず、どこか苦しそうな表情になってしまいました。
おや? 会長――?
「……俺のこと、嫌いだから知らないフリしてるの? こーちゃん」
……は? なんだって? こーちゃん……?
いきなり何言ってんですか、この変態は。
「誰かと間違えてません?」
会長はいつも私のこと、みんなと同じように『蘭』って呼ぶじゃないですか――
しかし会長は、厳しい顔のまま続けます。
「間違えてないよ。ほんとに俺のこと憶えてない? 蘭丸湖月。――こーちゃん」
へっ? 憶えて? だからなんですかその呼び方。
……でもなぜか、重ねて言われると、誰かにそう呼ばれていた気がします……?
会長は、至って真面目な顔をしたままです。
……からかっている様子は……ないです。
「俺だよ。こーちゃんが小四まで、隣の家だった。こーちゃんは俺のこと、『けいちゃん』って呼んでた」