会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】

「『あいりん』の支配人になる教育受けて育ったのよ。でも高校生になったある日突然、『俺料理やりたい』って言いだして、緒方の家族ともうちの家族のとも大揉めに揉めた結果、自分の意思を通して調理の専門学校に行ったの。それから若干……勘当に近い感じになってて……『湖風』で働いてることは知ってたんだけど、まさか湖蘭さんと付き合ってるとは思わなかったわ……ん?」

蔦子先輩の説明を、けいちゃんと二人で「大変そうだな(ですね)……」と聞いていると、蔦子先輩が何かに気づいたように言葉を切りました。

時さんと緒方くんの方を振り返ります。

「ちょっと時兄。まさかだけど『湖風』で働いてるの、湖蘭さんに近づくためとかじゃないわよね?」

「何言ってんだ蔦子」

蔦子先輩のかなりやべえ誰何(すいか)に、時さんは憤慨だとでも言うような語調で返してきました。

あ、違うんですね?

「湖蘭と合法的に一緒になる方法は俺が『湖風』に入る。一番手っ取り早い方法は厨(くりや)に入ることだったんだ」

「だから時兄は問題児なのよ! 進路で揉めた原因も湖蘭さんだったの⁉」

まさか……『あいりん』の支配人の座を蹴って料理の道を選んだのもそのためってことですか? すごい熱量っすね……。真似出来ないです……。湖蘭姉様に訊いてみよう。

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