会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
……目が点です。
確かにうちの隣は、音々の家族が越してくるまで空き家でした。
ですから、その前に誰か住んでいてもおかしくはないです。
ただ……
校舎に戻るため歩いていた、中庭の一角。
芝生になっているところまで歩いて、すとんと体育座りをしました。
「……隣、座ってください。会長」
「うん」
会長は大人しく私の隣に胡坐をかいて座り込みました。
会長には私の裏がばれていますから、敬語で話さなくてもいいかもしれませんが、学内では他の生徒に聞かれる可能性もあるので敬語を貫きます。
――深呼吸をして、心を落ち着かせます。
会長が、会長の言う通り私の元お隣さんだというのなら、これは言って置くべきだと思いました。
いえ、知っておいてもらうべきだと思いました。
「……最初に言って置きます。これは冗談でもからかっているわけでもありません。……私、記憶障害なんです」