会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「……はっ?」
「本当です。小学校の、一時期だけ記憶がないんです」
私の突然の告白に、会長は口を半開きにして呆然としています。
ちょっと間を開けてから、会長は何か考えるように口元に手をあてました。
「……具体的には何歳くらい?」
「……小三から小五くらいですね」
「あー、俺がこーちゃんの隣の家から引っ越したの、こーちゃんが小四ときだ」
ですか。思いっきりかぶってますね。
「でもそれでもおかしいな……。俺のこと完全に憶えてない?」
「はい。音々の家族が引っ越してくるまで、隣はずっと空き家だと思っていました」
……会長の言う通りおかしいかもしれません。
それも確かめなければです。
「会長のご家族は、引っ越してこられて、また転居されたのですか?」
「いや、俺の生家はこーちゃんの隣の家だよ。こーちゃんが小さな頃から知ってる」
……となると、やはりおかしいです。
私の記憶が抜けているのは、小三から小五の間で、それ以前は憶えているはずです。
会長が小三以前からお隣さんだったのなら、私は、会長が引っ越して行ったことは忘れていても、会長とそのご家族の存在は憶えていなければ、私の記憶障害と合致しません。
「……記憶障害って、何か治療は受けてるの?」