会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】

俺は黙ってそいつを睨みつける。

今日、貴重な休日をなんでこんな奴に割かなくちゃいけないんだ。

「えーと……お父さんも飲み物注文してくるね?」

「俺に父親はいない」

またカップに指をかけて傾ける。

そいつは困ったような顔をしたけど、俺がいつも通りの態度なのをわかってレジカウンターへ向かった。

自分のカップをソーサに置く音も、店内の音楽に消えてしまう。

……こんな奴に呼び出されてなくちゃバイト行くとかしてたんだけど。

そんなことを思っているうちに、カップの乗ったトレーを手にして戻ってきた。

「母さん、最近どう?」

「あんたに報告することはない」

俺のそれこそ、こいつに何度言ったかわからない返事に、困ったように眉を動かした。

「蛍都、相変わらず口悪いなあ」

「あんたのせいで倍増しただけだ」

――小学生のこーちゃんが俺に懐いていた理由。

それは、俺がこーちゃんより性悪で口も悪いから、だ。

簡単に言えば俺を隠れ蓑にしていたんだな。

< 181 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop