会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「いえ。記憶が抜けていることに気付いたのは中二のときで、精神科にも行きました。診断は、解離性障害の疑い、でした。あ、解離性人格障害ではないですよ? 私は意図的な二重人格ですが、多重人格ではないので。ですがこれ、確立された治療法とかはないようでして、その後は病院に行っていません。これといって日常生活に支障もなかったので」
解離性障害。
一部分の記憶がなくなる疾患です。
そのなくなった記憶は、戻ることもあるし、戻らないこともあるそうです。
何か辛いことが起こって、心が、自分を護るために記憶をなくしてしまうらしいです。
私は今のところ記憶は戻っていません。
ですが、まあなんとなくとしか言いようがないのですが、やはり私の記憶。
取り戻したいと思っています。
辛いことがあったかもしれませんが……思い出すのは、少し怖いとは思いますが。
「そっか……」
「ですが、本当におかしいです。私の記憶がない時期が、今まで思って来たものだとしたら、会長や、会長のご家族を憶えていないと説明がつかない……」
「大丈夫だよ、こーちゃん」
さらっとこーちゃんと呼ぶのですね。
会長相手では、その行動に難癖つけるのは今更感があります。
でも、会長は結構女生徒から恋愛的な意味で慕われているようです。
そっち系の敵を増やすのは趣味じゃないんですよねえ。
「なにがですか?」