会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「ううん。それより敬語崩さない?」
呼び方が変わって来たからそろそろ……。
「学校では猫かぶり続けるので無理です。うっかり素で喋りたくない」
真顔で言われた。そうですか。まあ、追い追いね。
「……そういえばこーちゃんさっき――」
「おかえり湖月。……と?」
さっき思い出したって言ってたけど、と続けようとしたら、女性の声に遮られた。
こーちゃんから視線をずらせば、こーちゃんの家の玄関扉を開けた人がいた。
「ただいま、お母さん。この前話した朝宮蛍都先輩」
あ、こーちゃんのお母さんか。
「朝宮蛍都です。こんにちは」
「あらぁ、蛍都くん。久しぶりね。憶えてるかしら?」
こーちゃんのお母さんは小走りで門を出て道路まで出てきた。
「はい。お久しぶりです。お元気そうでなによりです」
「そんなかしこまらなくていいのよ。懐かしいわねえ」
こーちゃんのお母さんはほこほことした笑顔で言ってくれる。
……俺が、まだ幸せを疑っていなかった頃しか知らない人。
「今日は外でこーちゃんと逢ったので、送ってきました。俺はこれで」