会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「朝宮さんがご存知ないなら、隣の家を離れられてから起こったことでしょう。湖月を含む三人が事故に遭って、ご両親はそのまま帰らぬ人に……湖月は命をとりとめましたが、病院に運ばれて処置を受けました。そして目を覚ました湖月は、駆け付けた叔父夫婦に向かって呼んだのです。『お父さん、お母さん』と」
「―――」
「私と伽藍、おじい様もその場に居合わせましたが、おじさまも咄嗟のことだったようです。「ここで否定したら湖月の心は壊れると直感があった」、と。……それからおじさまとおばさまは湖月の両親になりました。おじい様も手を貸して、根回しをして……。そのうち、協力者が現れました。現在お隣に住んでいらっしゃる浅井さまです。ご家族に警察の関係者の方がいらっしゃって、湖月が信じている現実を守るために手を貸してくださっています」
「―――」
うそ、だろ……こーちゃんのお父さんとお母さんが……亡くなった? 俺、そんなの全然知らないぞ?
目に映るのが、いつのまに膝の上で握った自分のこぶしになっていた。
頭の中の整理なんて全然出来ないけど、やっと一つだけ、これは確かめなくちゃと思うことがあった。
「こーちゃんは、今現在そのことを知っているんですか……?」