会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
みんながこーちゃんの部屋に集まる中、こーちゃんに断わって、こーちゃんのお母さんのところへ向かった。
「あ、蛍都くん。どうかした?」
ダイニングテーブルでパソコンを広げていたこーちゃんのお母さんは、ふっと顔をあげて微笑みながら言って来た。
……うん。俺はリビングのドアを閉めて言った。
「湖蘭さんから聞きました。こーちゃんの……ご家族にあったこと」
と。
こーちゃんのお母さんは真顔で三秒ほど固まってから、はあ……と顔をうつむかせながらため息をついた。
「そう……そっか。そうよね、蛍都くんなら気づいてもおかしくないものね……」
こーちゃんのお母さんは俺に「座って」と、ダイニングテーブルの、自分の対面の椅子を示した。
「失礼します」と断ってから椅子につく。
「湖蘭ちゃんが話したのね?」
「……俺が訊き出しました。湖蘭さんは責めないでください」
「うん……」
「――こーちゃんの中から消えてしまったのは、あなたたちだったんですね……」
こーちゃんの中から消えた叔父と叔母。
両親の場所と引き換えに。