会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「うん……。湖月に言うつもりかな?」
正面から見るこーちゃんのお母さんの顔には覇気がない。
こーちゃんの心が壊れることから護るために始まった秘密だ。
「いいえ。それは絶対にないです。こーちゃんがそれを知るのは、こーちゃんのお父さんとお母さんが決めたタイミングだと思っています」
「……そうね。主人とも話しているけど、いずれは知らせなければならないとは思っているわ」
「なら、俺を使ってください」
テーブルに隠れている手はこぶしになって、緊張で熱くなっていた。
「? 蛍都くん?」
「こーちゃんを護るために、俺を使ってください。学校ではバレないよう俺が対応します」
「そんな蛍都くん……これは間違ったことかもしれないのよ? そんなことに――」
「こーちゃんを護れるなら、俺は正しくなくていいです」
大事な子を護りたい。
それは間違っていると言われたってかまわない。
こーちゃんが元気に笑っている。それは俺の正しさだ。
こーちゃんのお母さんは、テーブルの上で指を組んだ。
「……変なこと訊くけど、湖月のことが好きなの?」
……ん? 好き?