会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「……蛍都くんは、私たちに怒ってないの?」
「怒って……ですか?」
なんでこーちゃんのお母さんたちに怒る必要があるんだ?
「たまに思うことがあるの。湖月が事故から目覚めたとき、本当のことを知っていたら、今頃あの子はどうなっていたんだろう、って……。絶望の未来(いま)も、希望の未来(いま)も想像出来てしまって……。でも、私たちが湖月に秘密を作ってしまったから、あの子の記憶には異変が出てしまったのよ。……私たちは、湖月を苦しめているんじゃないか、って……」
絶望のいまと、希望のいま。
……どうなっていたかなんて、誰にもわからないだろう。
俺たちが知ることが出来るのは、その過去から繋がった現在(いま)だけだから。
「……どんなに辛くても、いつかは知ることになると思います。戸籍なんかを見たらすぐわかるでしょう。だからせめて、こーちゃんにも、こーちゃんのお父さんとお母さんにも、優しい形で知ってほしいと思います」
出来るだけ、傷つくことが少ない形で……。
「……蛍都くんは、私を『こーちゃんのお母さん』って呼んでくれるのね……」
……うん。
「親が子を護るのは当たり前だとは思っていません。でも、こーちゃんのお母さんは、こーちゃんのお母さんです」