会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】

記憶をなくしていることに気付いたのは、中学二年の夏でした。

同じ小学校出身の友達が、「○○先生結婚したんだって!」と、意気揚々と報告してきました。

私の返事は、「誰? その先生」でした。

友達は、私がからかっていると思ったようで、「小三と小四の頃の担任じゃん! なに? カッコつけ?」なんて言ってきました。

そのとき、私は呆然としていました。

そこで初めて、一部分の記憶が抜けていることを知ったのです。

その日は授業に一切身に入らず、家へ帰って、小学校のアルバムを見ながら確認しました。これは憶えてる……この写真は遠足の……と、総てがわからないわけではなかったのですが、心当たりのない写真が何枚もありました。

時系列で追っていくと、小三から小五の間だったのです。

その日、帰って来た両親にもその話をしました。

両親は、やはり私がわざとからかっていると思ったようですが、私が言葉を重ねるうちに、真剣な顔になりました。

当時の私としては、勉強に関しては影響がなかったので、まあこのままでもいいやって感じでした。

両親も、私が悩んでないのなら……と、これと言って口出しはしてきませんでした。

「……ははっ、こんな展開、あんのかよ……」

今はすごく、――心が、軽い、です。

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