会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「女将や旦那は、蔦子姉ちゃんがBL好きすぎて自分の恋愛放棄するんじゃないかって心配してるんだ。蔦子姉ちゃんには『あいりん』を継いでもらわなくちゃしょうがないから、彼氏とかいないんなら見合いさせんぞ、ってこと。だからとりあえず、彼氏見せておけばいいんじゃない?」
ご両親の心配のしどころが心配です……。
「そうじゃなくて――緒方くん以外の方が、蔦子先輩の彼氏をやることが、緒方くんいやなんじゃないかなって」
「別に……」
それまで私の方を見て喋っていた緒方くんが、ふいっと視線をそらしました。
私は足をくるりと反転させて、緒方くんの方に体を向けます。
「完全に否定はしないんですね?」
「……蘭丸って実はいい性格してるよね」
「性格はよくないですからね。で? いいんですか?」
「いや、だから蔦子姉ちゃんは緒方にとってはご主人様なんだって――」
「あ、そこは大丈夫です。二代続けて主家のお姫様と結婚した話とかありますから」
「ん? どういうこと?」
「深い意味はありません。身分差なんて、超えりゃいいだけですよってことです」
「………」
少し黙った緒方くんは、カタンと小さく音を立てて、椅子から立ち上がりました。