会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
哀淋は俺を応接間らしき和室へ放り込むと、「両親を呼んでくるわ。下手なこと言ったら……朝宮の大事なこーちゃんに何かしちゃうかも」と、うっそりとした眼差しの魔女としか言えない言葉を残して、襖の向こうに消えていった。
何がなんでも下手を打てない。こーちゃんの純潔は俺が守らねば⁉
哀淋の警告にドクドクする心臓を落ち着けるように胸の辺りを握りしめた。
さっきの今で、哀淋の行動力半端ねえなあと思うと同時に、物悲しさも感じていた。
哀淋が『彼氏役』が必要だったのは、あくまで見合いを仕組まれることを回避するため。
哀淋は、BL趣味が高じてリアルの男と付き合う選択肢がないんじゃないかと両親に心配されて見合いが組まれる危機だったらしい。
だから、『彼氏』がいれば見合いを仕組む必要もなくなるというわけだ。
哀淋が戻ったのから少し遅れて、ご両親が一緒にやってきた。
二人とも和服で穏やかな印象だが、この哀淋のご両親だ。油断してはならない。
「朝宮くん、一年生の頃から優秀で、前生徒会長が、次期会長にって指名して卒業したんですわ」
ウフフ笑いを浮かべる哀淋がひたすら気味悪い。
お嬢様言葉な哀淋がただただ気持ち悪い。
哀淋、家じゃこういう性格なんかな……。
どんだけ猫かぶってんだよ。
「それで、二人はいつから付き合っているの?」