会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
って、今の感じでいいのか?
ちらっと隣の哀淋を見ると、何故か唇を噛みしめて怒りをこらえるような表情をしていた。
怖っ! うつむき気味だからご両親には気づかれていないことを願う……!
「じゃあ今度は、朝宮くんのご家族もお呼びして結納の日を決めましょう」
と、哀淋のお母様が、すごく嬉しそうな顔で言った。
……なんて?
「へ? え? あの――」
「蔦子と付き合うっていうのは、婿養子になってもらうってことよ。今から話を進めておかないといけないの」
「………」
哀淋―――――――‼ ガチじゃねえか! 逃げ場ねえじゃねえか! なにが別れたってカタチにしておけばいいだよちくしょう! なんて誤魔化す――
「失礼します! 旦那! 女将さん!」
混乱する俺の思考回路に勢いよく割って入って来たのは、ふすまをぶち壊す勢いで姿を見せた幹だった。
俺は内心、遅いとため息をつく。
「幹? どうした。今大事な話をしていて――」
哀淋のお父様が首を傾げる。
幹は廊下にいたまま、両膝を折り、両手を床につきまっすぐに哀淋のご両親を見た。
「お願いします。蔦子姉ちゃんの結婚話を進めるの、せめて高校を卒業するまで待ってください」