会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「確かに生徒会、楽しいですわ。いくら女将修行が忙しくなっても辞めたいとは思いませんわ」
力説する哀淋を見て、ご両親は口を引き結んだ。
俺も引き結んだ。
今口を挟んだら裏拳喰らいそう。
哀淋は胸に手を当てて続ける。大切にしている言の葉を口にするように。
「『あいりん』を継ぐのは小さな頃からの私の夢で、憧れでしたわ。それを叶えるために毎日頑張るのは、楽しいだけではありませんが、充実していますわ。でもそれと同じくらい、生徒会も充実しています。多忙ではありますが、楽しくもあり勉強にもなります。極論になりますが……女将修行のために生徒会を辞める選択肢は、私にはありません」
……確かに哀淋、楽しそうではあったな。
クソ忙しいときでもフケることも一度もなかった。哀淋の実家が名門と言える料亭で、若女将なんてのもやっているなら、私生活もかなり忙しかっただろうに。
……一度も、生徒会を休んだことはなかった。
「最初は先生に勧められて興味本位で入った生徒会でした。いつでも辞めることは出来る、くらいの軽い気持ちで。……久遠学園の生徒会は多忙で有名ですわ。私もそれを身に染みてわかっているつもりです。ですが、……なんと言うのでしょう。簡単な言葉で言うのなら幹の言う通り、『楽しい』の一言に尽きます。私は生徒会に入ってよかったと、心から思っています」