会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
……卒業した会長、前の生徒会の先輩たち、聞こえてたりしないかな?
あの哀淋が、いつも仏頂面で仕事していた哀淋が、生徒会のことをこんな風に思っていてくれたらしいですよ。
……なんか、嬉しいっすね。
「そう……」
哀淋のお母様が、小さく息を吐いた。
「蔦子、どうして見合いの話なんて持ち出されたか、わかってるかい?」
哀淋のお父様が、卓の上で手を組んで訊いてきた。
「それは……私がBLにうつつを抜かしていてリアルの恋愛を放棄していると思われているからでは……」
俺も聞かされた理由を哀淋が口にすると、哀淋のお母様はきょとんとして、哀淋のお父様はため息をついた。
「……なんでそんな風に思ってるんだ。違うよ。うちからしたらライバル店舗になる『湖風(こかぜ)』が、うちとの縁談を狙っているという話が流れてきてね」
こかぜって……これも政治関係のニュースで聞いたことある料亭の名前だ。
へー、料亭『あいりん』にとってはライバル店舗になるんだ。………て、え?
「向こうは姉と弟の姉弟だが、弟が蔦子と同い年だ。何を企んでいるかまではわかっていないが、弟を蔦子と縁組させる気でいる……という噂があるんだ」
「そうなのですか⁉ 私のBL趣味関係なかったのですか⁉」
哀淋もツッコミどころそこかい。