会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
俺が切りだすと一気に視線が向いた。
雰囲気のある方ばかりなだけにちょっと怖い。――でも。
「僕は蔦子さんの結婚のお話に関われるほどの立場では、ご推察の通りございません。ですが、蔦子さんが恋愛感情なんか欠片もない僕なんかを駆り出さなければいけないほど、今回のことで困っていたこともご承知置きください」
半歩分身を引いて、膝の上でこぶしを握って頭を下げる。
まあ、俺の勝手な推測なんだけど。哀淋が困っているとか。
本気で見合いが嫌なだけだったかもしれないし。
それこそ幹に惚れてて――とか。
「……そうか」
「ええ……そうね」
哀淋のご両親が、揃ってため息をついた。
そして今しがたの俺のように、軽く身を引いて頭を下げた。
「朝宮くん、蔦子、幹。今回の件で騒がせてしまってすまない。私たちに勝手で心配をかけさせてしまったね」
「朝宮くん、ご面倒をおかけしました」
哀淋のお母様が俺に向かって頭を下げて来た。
「いえ……幹の言ったこと、どうお考えですか?」