会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
…………え?
「さ、やるわよ!」
哀淋が、ぱんと手を打ったのを合図に、こーちゃんと幹が動き出した。
俺は一瞬遅れてそれに続く。
……今まで俺一人で仕事に残ること多かったけど……それが三人を不快にさせていたのだろうか……?
この日の仕事はバリバリ動く三人のおかげで、ものすごいスピードで終わった。
あのさ、そんな仕事出来るんなら普段からそれやってよ……とは、心の中にしまったけど。
そして四人で生徒会室を閉めて、俺は鍵を返しに一人で職員室へ。
三人は先に玄関へ行ったけど、俺はよっぽど信頼されていないらしい。
遅れて玄関へ来た俺を、三人が待っていた。
「どうした?」
と声をかけると、
「仕事終わったフリして、朝宮が生徒会室戻るんじゃないかって思って。待ち伏せ」
「ちゃんと終わったんだから、帰りましょーよ」
「途中までですけど、私も一緒に」
そして初めて、四人そろって帰ることになった。
え、なにこれ。幸福でしかなくない?
道中、俺の隣ではこーちゃんが思案気な顔をしていたけど、浮かれている俺は一向に気付かなかった。
「『湖風』、か……」
別れ際のこーちゃんのつぶやきも、俺には聞こえていなかった。