会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
電車に乗ってこーちゃんに連れて来られたのは、どん、とか、効果音がつきそうな構え方をする大邸宅だった。
今はこーちゃんと二人でその邸宅を囲む背の低い壁際を歩いていて、気になってちらちら中を見ると、格式の高い寺社仏閣みたいに手入れの行き届いたもはや庭園で、その大邸宅は更に奥に見える。
こーちゃんからはどこへ行くとか教えてもらってないんだけど、こーちゃんは迷わずに進んでいる。
この大邸宅はただの通過点なのか、終着点なのか……。
「大伯父の家です」
「もしかして……この大邸宅がそれ?」
「邸宅ではありませんが……ここです」
大おじって言うと、祖父母のご兄弟か……?
なんでそんなところに俺を連れてくるの?
ふと、入口らしきでかい門が見えて、その脇に木の年輪を表面にして作られた看板があった。
『湖風』と読める。
「ん? こかぜ?」
なんだっけ。最近聞いた名前……。
あとこの、知らない場所なのに見覚えのある感じはなんだ……?
「とにかく、一緒に来てください」
「はい」