会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「学校の先輩なんです。仲良くしてもらっていて、今日は『湖風』を見てもらいたいなって思って一緒に。直接行っていいですか?」
「もちろんです。ごゆるりとどうぞ」
中居さんのような人は、腰を折ってゆっくり頭を下げて来た。
俺も慌てて頭を下げる。
こーちゃんは玄関には入らず、中庭に足を向けた。
俺もこーちゃんに続く。
「こーちゃん、こらんさんって誰?」
こーちゃんは前を向いたまま喋る。
「大伯父直系の孫です。私からしたら再従姉ですね」
はとこがお嬢様なんて呼ばれる人なんだ……そういえばさっきの人、こーちゃんのことも明らかに年下なのに『湖月さん』って呼んでいて敬語だったな……。
「こらんは、『湖』に花の『蘭』って書きます」
「……こーちゃんとお揃い?」
「そんな感じです。この家は五月女(さおとめ)――『五月』に『女』って書く方の五月女姓なんですが、生まれた女の子には『湖』の字を使うのがならわしなんです」
「へー」
「と言っても、私の母方の亡くなった祖父が、五月女の今の大旦那の弟なんで、私は苗字は違うんですけどね」
「へー。こーちゃんって良家のお嬢様だったんだ」