会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
心の中でうんうんと肯いていると、こーちゃんが声を張った。
あ、この先に湖蘭さんがい――え。
こーちゃんが足を向けている先にいたのは、木陰でキスしている男女だった。
え…………え。
えーと…………。
「こ、こーちゃん、これはお邪魔じゃ……」
「あっ、湖月!」
俺がこーちゃんに耳打ちしている途中で、気づいた女性の方がこちらを向いた。
こーちゃんははとこさんがいちゃついている現場に割り込んだというのに照れた様子ひとつない。すげえ。なんて豪胆なんだ。さすがこーちゃん。
湖蘭さんはキスしていた男性と幾つか言葉を交わしてから手を振り、男性が先に離れていった。
それを見送った湖蘭さんが、つま先をこちらへ向ける。
「湖月、来てくれたの」
「うん。先輩と一緒に。姉様、今の人は?」
直球。こーちゃんはこの手の話題の変化球を知らないようだ。
それがこーちゃんのいいところなんだけど。
「私の彼。みんなには内緒よ? 彼、クビにされちゃうから」
湖蘭さんは、口元に人差し指を立てた。………はい?