会長のお気に入りかよ‼-百花繚蘭-【完・番外編追加中】
「げ、来た……」
げ? こーちゃんが今にも吐きそうな顔になって、男から視線をそらした。
もしかしなくてもこーちゃんは、この男が来ることを歓迎していないな?
こーちゃんを男からかばうように立った。
そんな俺を見て、すぐ傍まで来ていた男は一度立ち止まり、眉間にしわを刻んだ。
「おい。誰だお前。なんで湖月と一緒にいる」
上から目線が板についたようなしゃべり方。
イラッとするしかない相手に、俺は愛想笑いを顔面に張り付けた。
「朝宮蛍都。こーちゃんの幼馴染で、今は兼先輩です」
名乗るのも癪なくらい偉そうな奴だけど、人の家に入っていて名乗らないのも礼儀がないと思い、こーちゃんと特別な関係ですよ感をにおわせながら言った。
「湖月の幼馴染? なんでそんな奴がうちにいる」
「こーちゃんに連れて来られたんです」
こーちゃんのご親戚の家にいるのならば『湖月さん』と呼ぶべきとはわかっていたけど、俺に向けて喧嘩腰のこいつにはあえて『こーちゃん』と呼んだ。
男はますます険しい顔になる。
「湖月、まさかとは思うがこいつ彼氏じゃないよな?」