冬の花
私の住むマンションの近くに高速があり、
それを使い北に一時間程車を走らせた。

阿部さんとの待ち合わせ場所は、
トイレと自動販売機くらいしかない小さなサービスエリアの駐車場。

まだ朝早いけど、数台車が停まっている。

私がそこに着き車を停めていると、
暫くして、
白い車が入って来た。

なんとなく、この車なのだと分かった。


コンコン、と助手席の窓がノックされて、
私は鍵を開けた。

ドアが開き、助手席に阿部さんが乗り込んで来た。

初めて見る私服姿だからか。

会わなかった5年間の時のせいか。

私が知っている阿部さんより大人びて見えた。

少し痩せたかな?

その横顔を見ていると、胸が詰まるような思いがする。

やはり、私はこの人が好きで好きでたまらなくて、
ずっとずっと会いたかった。

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