冬の花
家に帰ると、父親は居間のコタツで寝転び、テレビを見ていた。


体を起こしたかと思うと、テーブルの上の缶ビールに口を付けて、
また寝転ぶ。


その姿に、なんとも言えない嫌悪感が沸く。


なんでこんな人間が父親なのだろうか?


着替えた様子もなく寝間着のまま、
髭も伸びて、1日なにもせずただ食べて寝るだけ。


本当に、なんでこんな奴がこの世の中にいるのだろうか?


「あかり、帰ってきたならさっさと飯の用意しろ!」


居間に制服姿のまま突っ立っている私を、そう怒鳴りつける。


私はその声で、我に返った。


「あ、はい。
昨日のカレーが残っているから、すぐに温めなおす」


「カレー?
またカレーか?
それはお前だけ食って、俺には他の物を食わせろ!」


そう言って、父親が体を起こした。


その行動に、体がビクリ、と震えた。


心の中では父親の事を見下しているのに、
実際は逆らえない。


< 15 / 170 >

この作品をシェア

pagetop