冬の花
「鳴海さんは贖罪として、彼女を主演に良い脚本を書けばいいんじゃないですか?」

「そうだけど、現在盗作した俺の世間での印象、最悪だからな。
また這い上がらないと」

そうやって笑っている顔を見ると、
盗作を発表して、心が軽くなったのだろうな。

そして、心新たに今までとは違った作品を生み出すような可能性を見ていて感じる。

「今回、桑田つぐみと会って話してみて、色々と誤解も解けたよ」

「誤解、ですか?」

「うん。俺が彼女の才能を羨んでいたように、彼女も俺の才能を羨んでいた、らしい。
俺が彼女の作品を盗みシナリオに創り変えたあの作品。
彼女はあの作品を見て、自分にはない俺の才能に嫉妬したって。
だから、その話題を避けていたらしい。
俺に自分の作品を盗んだ、と問い詰める事が出来なかったらしい。
そして、別れてから大学をずっと休んでいたのは、
風邪が長引いてたらしく、食欲もなくて、それで窶れてたんだって。
別に失恋のショックなんかじゃないって、怒られた」

「そうなんですね。
なら、手首を切っていたって言うのは?」

それも誤解なのだろうか?

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