冬の花
私が何も言えずに黙っていると、阿部さんが口を開いた。
「頬、赤いね」
「えっ」
その頬が赤いと言う意味を、
今照れているのを知られたのだと解釈して、
さらに頬が紅潮するのを感じた。
「あのさ、俺もあかりちゃん家に一緒に行くから。
流石にこんな雪の日に女の子を外に出すなんて、お父さんに一言言っておかないと」
「ええ、それは…」
私が慌てていると、阿部さんは先にパトカーを降りて、さっさと私の家へと歩いて行く。
私もすぐに降りて、阿部さんに追い付いたのは、玄関の前。
「阿部さん!待って下さい」
私は彼の腕を掴むが、それとは逆の手で玄関の引戸を開けていた。
立て付けの悪い扉が、ガラガラと音をたてた。
「すみません。増田(ますだ)さんいらっしゃいます?」
私は心底焦っていて、どうしていいか分からず、阿部さんの顔を見ているしか出来ない。
阿部さんが私の父親にどういう風に今日の事を注意するのか分からないけど、
きっと、父親を怒らせてしまう。
そして、その怒りは私に向かう。
阿部さんが帰った後、きっと私はまた殴られる。
それを考えると、恐怖で体が段々と震えだして来た。
「あかりちゃん、大丈夫だから」
私を見て笑顔で、阿部さんはそう言った。
何が大丈夫なのか?
その言葉が、私をますます不安にさせる。
辞めて!余計な事はしないで…。
そう思うけど、声が出ない。
「頬、赤いね」
「えっ」
その頬が赤いと言う意味を、
今照れているのを知られたのだと解釈して、
さらに頬が紅潮するのを感じた。
「あのさ、俺もあかりちゃん家に一緒に行くから。
流石にこんな雪の日に女の子を外に出すなんて、お父さんに一言言っておかないと」
「ええ、それは…」
私が慌てていると、阿部さんは先にパトカーを降りて、さっさと私の家へと歩いて行く。
私もすぐに降りて、阿部さんに追い付いたのは、玄関の前。
「阿部さん!待って下さい」
私は彼の腕を掴むが、それとは逆の手で玄関の引戸を開けていた。
立て付けの悪い扉が、ガラガラと音をたてた。
「すみません。増田(ますだ)さんいらっしゃいます?」
私は心底焦っていて、どうしていいか分からず、阿部さんの顔を見ているしか出来ない。
阿部さんが私の父親にどういう風に今日の事を注意するのか分からないけど、
きっと、父親を怒らせてしまう。
そして、その怒りは私に向かう。
阿部さんが帰った後、きっと私はまた殴られる。
それを考えると、恐怖で体が段々と震えだして来た。
「あかりちゃん、大丈夫だから」
私を見て笑顔で、阿部さんはそう言った。
何が大丈夫なのか?
その言葉が、私をますます不安にさせる。
辞めて!余計な事はしないで…。
そう思うけど、声が出ない。