冬の花


ブルーシートでくるんだそれを、
阿部さんと二人家から運び出して、
パトカーへと運ぶ。


雪と風が凄くて、少しの距離でもその移動が大変だった。


パトカーの後部座席のドアを開けて、
阿部さんがそのブルーシートの塊を後部座席に押し込んで行く。


ドアを閉めて、私の方に視線を向けた。


「あかりちゃんはもう家に入りな。
後は、俺がなんとかするから」


「いや…。
一人になりたくない…。
それに、それをどうするのか、知っておきたい…」


私は後部座席の方に、視線を向けた。


もし今夜の事を誰かに知られたら、
その時は私は阿部さんを庇うつもり。


だから、最後までちゃんと見ておかないといけない。


「…分かった。
確かに、まだ色々話して決めておかないといけない事もあるから」


「えっ?」


「あかりちゃん、君の父親は、今日突然、居なくなった事にするんだ」
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