冬の花
私達を乗せたパトカーが止まり、
私は我に返る。


自分が一体何をして此処にいるのか。


「…こんな近くでいいのですか?」


パトカーの止まった場所は、
村にある大きな湖の近く。


もう車を走らせるつもりがない事を阿部さんから感じ取る。


この湖に、父親を捨てるの?


「…あまり遠くに行く事は出来ないから」


そう言われて、阿部さんが勤務中だった事を思い出す。


それに、パトカーで大きな道に出たら目立つかもしれない。


きっと、防犯カメラもないこの村の中で隠す事が、最善なのかもしれない。
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