冬の花
「あかりちゃんを初めて見た時、すぐに気付いた。
親から虐待されているんじゃないかって。
別に目立つ傷があったとかじゃなく、それは俺の勘で」
「え、私、けっこう暗そうですもんね。
何かを抱えてそうってか」
「暗そう、とは思わなかったけど。
ただ、笑っていてもどこか悲しそうで。
そして、俺と顔を合わせる度に、段々と心を開いて行ってくれてるのが分かって。
俺を見て、本当に嬉しそうに笑ってくれている事が嬉しくて」
そう言われて、それはあなたが好きだから、なのだと思った。
その事までは、阿部さんは気付いていないかもしれない。
「だから、この子を俺が救い出してあげたい、と思った」
「だから…」
だから、私の父親を殺したんだ。
先程、送って貰った時に、
阿部さんは私の顔を見て、頬が赤いと言った。
それは、私の頬が父親に殴られ、腫れていたのだろう。
それを見て、阿部さんは…。
「この方法が正しいとは思っていないけど、
殺すしかなかったんだ。
あの父親がいる限り、あかりちゃんは幸せになれない。
高校を出て、家を出ても、見付けられて付きまとわれたり金の無心されたり。
この先結婚とかする時にも、相手の親がそんな父親がいる事を良く思わない。
あの父親がいる限り、あかりちゃんの人生の足枷にしかならない」
私は、父親が居た自分の未来を想像して、
本当に阿部さんの言う通りだと思った。
そして、もうそんな人生から解放されたのだと、
心底ホッとしていた。
「ありがとう…ございます…」
そう口にすると、よく分からないけど、涙が溢れて、こぼれだした。
色々な感情が混ざりあって、なんで泣いているのか分からない。
人を殺した事も今も怖いし、それが誰かに知られる事も。
阿部さんの過去も聞いていて辛いし。
あの父親から解放され、未来に対する期待や不安。
そして、阿部さんの事が本当に好きで好きで仕方ない。
泣けるくらいに、好きで。
親から虐待されているんじゃないかって。
別に目立つ傷があったとかじゃなく、それは俺の勘で」
「え、私、けっこう暗そうですもんね。
何かを抱えてそうってか」
「暗そう、とは思わなかったけど。
ただ、笑っていてもどこか悲しそうで。
そして、俺と顔を合わせる度に、段々と心を開いて行ってくれてるのが分かって。
俺を見て、本当に嬉しそうに笑ってくれている事が嬉しくて」
そう言われて、それはあなたが好きだから、なのだと思った。
その事までは、阿部さんは気付いていないかもしれない。
「だから、この子を俺が救い出してあげたい、と思った」
「だから…」
だから、私の父親を殺したんだ。
先程、送って貰った時に、
阿部さんは私の顔を見て、頬が赤いと言った。
それは、私の頬が父親に殴られ、腫れていたのだろう。
それを見て、阿部さんは…。
「この方法が正しいとは思っていないけど、
殺すしかなかったんだ。
あの父親がいる限り、あかりちゃんは幸せになれない。
高校を出て、家を出ても、見付けられて付きまとわれたり金の無心されたり。
この先結婚とかする時にも、相手の親がそんな父親がいる事を良く思わない。
あの父親がいる限り、あかりちゃんの人生の足枷にしかならない」
私は、父親が居た自分の未来を想像して、
本当に阿部さんの言う通りだと思った。
そして、もうそんな人生から解放されたのだと、
心底ホッとしていた。
「ありがとう…ございます…」
そう口にすると、よく分からないけど、涙が溢れて、こぼれだした。
色々な感情が混ざりあって、なんで泣いているのか分からない。
人を殺した事も今も怖いし、それが誰かに知られる事も。
阿部さんの過去も聞いていて辛いし。
あの父親から解放され、未来に対する期待や不安。
そして、阿部さんの事が本当に好きで好きで仕方ない。
泣けるくらいに、好きで。