冬の花
◆
事を終えると、お互い衣服を整えた。
私はキスさえも初めてで、終始どうしていいか分からず、阿部さんに身を任せる事しか出来なかった。
幸い、初めての痛みも、歯を食い縛れば耐えれるくらいだった。
車内に流れる重い沈黙を破るように、
阿部さんが口を開いた。
「俺達、もう会わないでいよう」
「えっ…」
何故、と言葉が出て来ない。
「これからあかりちゃんを見掛けても、
もう話し掛けないから。
俺達はもう関わらない方がいい。
今日の事を、誰にも知られない為に」
こちらを見ずに、阿部さんはフロントガラスを見ている。
雪で真っ白で、何も見えないのに。
「…そうですね」
きっと、それがいいのだと思う。
阿部さんの言うように、私達はもう関わらない方がいい。
私達が、父親を殺して湖に捨てたのだと誰にも知られないように。
事を終えると、お互い衣服を整えた。
私はキスさえも初めてで、終始どうしていいか分からず、阿部さんに身を任せる事しか出来なかった。
幸い、初めての痛みも、歯を食い縛れば耐えれるくらいだった。
車内に流れる重い沈黙を破るように、
阿部さんが口を開いた。
「俺達、もう会わないでいよう」
「えっ…」
何故、と言葉が出て来ない。
「これからあかりちゃんを見掛けても、
もう話し掛けないから。
俺達はもう関わらない方がいい。
今日の事を、誰にも知られない為に」
こちらを見ずに、阿部さんはフロントガラスを見ている。
雪で真っ白で、何も見えないのに。
「…そうですね」
きっと、それがいいのだと思う。
阿部さんの言うように、私達はもう関わらない方がいい。
私達が、父親を殺して湖に捨てたのだと誰にも知られないように。