冬の花
裕子さんとその広いタワーマンションで暮らし出た初日。
二人でリビングの大きな窓の前に立ち夜景を見下ろした。
そして、裕子さんに、本当は何故私を引き取ったの?と聞いた。
裕子さんは、吸っていた煙草の煙を吐き出し、少し笑って口を開いた。
「私は、家族が嫌いだから」
裕子さんの話は、こうだった。
裕子さんの両親は昔ながらの男尊女卑な所があり、
女である裕子さんより、
男である裕子さんの弟をとても大事にしていた。
それは、父親よりも母親の方が強く、
とても弟を可愛がり、
裕子さんは幼い頃から理不尽な思いをする事が多かったらしい。
「だからか、私は結婚ってか、子供が欲しいって気持ちもなくて。
自分の子供が女でも男でもなんとなく可愛がれない気がして。
私、弟と違って奨学金で大学行ったんだ。
女だからって理由で、進学に反対されて、
行きたいなら自分の金で行けって。
まー、勉強は出来たからそこそこの大学に行けて、卒業してからはバリバリ働いて奨学金なんかもあっと言う間に返して。
で、弟は言うと…」
裕子さんの弟は親に出して貰ったお金で三流大学を卒業し、
小さな建設会社に就職。
裕子さんの弟は結婚し、三人もの子宝にも恵まれて、それなりには幸せには生きているらしい。
「けど、お金がないの。
私にも時々子供の塾代がどーとか無心して来て。
まー、何度かは援助してたけどあまりにもしつこいから、
弟と縁切ったの。
元々、弟の事は凄い嫌いだったし。
それにうちの両親も…。
うち自営の工務店なんだけど、上手く行ってなくて借金だらけで。
いつの頃か、母親も私にお金貸してくれって電話ばかりで。
だから、家族全員と絶縁したの」
だから、私の母親の葬式に来なかったのか…。
裕子さんの弟もそうだけど、
裕子さんの両親も来ていたから…。
二人でリビングの大きな窓の前に立ち夜景を見下ろした。
そして、裕子さんに、本当は何故私を引き取ったの?と聞いた。
裕子さんは、吸っていた煙草の煙を吐き出し、少し笑って口を開いた。
「私は、家族が嫌いだから」
裕子さんの話は、こうだった。
裕子さんの両親は昔ながらの男尊女卑な所があり、
女である裕子さんより、
男である裕子さんの弟をとても大事にしていた。
それは、父親よりも母親の方が強く、
とても弟を可愛がり、
裕子さんは幼い頃から理不尽な思いをする事が多かったらしい。
「だからか、私は結婚ってか、子供が欲しいって気持ちもなくて。
自分の子供が女でも男でもなんとなく可愛がれない気がして。
私、弟と違って奨学金で大学行ったんだ。
女だからって理由で、進学に反対されて、
行きたいなら自分の金で行けって。
まー、勉強は出来たからそこそこの大学に行けて、卒業してからはバリバリ働いて奨学金なんかもあっと言う間に返して。
で、弟は言うと…」
裕子さんの弟は親に出して貰ったお金で三流大学を卒業し、
小さな建設会社に就職。
裕子さんの弟は結婚し、三人もの子宝にも恵まれて、それなりには幸せには生きているらしい。
「けど、お金がないの。
私にも時々子供の塾代がどーとか無心して来て。
まー、何度かは援助してたけどあまりにもしつこいから、
弟と縁切ったの。
元々、弟の事は凄い嫌いだったし。
それにうちの両親も…。
うち自営の工務店なんだけど、上手く行ってなくて借金だらけで。
いつの頃か、母親も私にお金貸してくれって電話ばかりで。
だから、家族全員と絶縁したの」
だから、私の母親の葬式に来なかったのか…。
裕子さんの弟もそうだけど、
裕子さんの両親も来ていたから…。