いつまでも…片想い 若葉色
約束の土曜日は7時に車で迎えに来てくれた。
「 おはよう 」
「 おはようございます 今日は晴れて良かったですね 」
「 そうだな ドライブ日和だな。 箱根で行きたい場所は あるのか?」
「 大涌谷に行きたいです」
「大涌谷だけ? じゃあその後は芦ノ湖へ廻ってみようか?」
「 はい!お願いします 」
街中から海岸通を走り、段々と箱根に近づく。
「 運転上手ですね、 安心して乗っていられます 。会社の先輩の話しだと元カレが運転の荒い人でドライブ行って最悪だったそうです 」
「 誉めてくれてありがとう。良かったよ 合格点貰えて 」
「 他にもいろいろありそうだな?先輩の彼氏の話し」
「 はい、私総務部で女の人が多い部署なので話しはつきませんね 」
「 怖そうだから 聞くのやめておくよ 」
「 そうですねその方が良いかも…です 」
箱根に入りカーブが続き、都会には無い風景に目を楽せてくれる。しばらくすると最初の目的地 大涌谷に着いた。
車から降りると硫黄の匂いがして、大涌谷に来たのだと感じる。少し散策をしてから、有名な黒玉子を食べた。玉子の殻は黒いが、中身は味わいがあり美味しかった。
お手洗いのあと、通りすぎた売店のコーナーで箱根細工がありとてもかわいい。
まだ着いたばかりだが、今日のドライブ記念に神崎さんには箱根細工のボールペン 自分には小物入れを買った。
サプライズにしたいので神崎さんに気づかれていないことを願う。
次は芦ノ湖へ向かう。
芦ノ湖の湖畔に駐車し、食事をした。 箱根神社の案内が出ていて歩いて行ける距離のようで、これも何かのご縁かも?と参拝することにした。
参道を歩くと悠久を感じる木に心が洗われるようで、穏やかな気持ちになる。
神崎さんといると無言の状態でも、息苦しくなく自然体でいられる。"これからは神崎さんの隣を歩いていきたい"と強く思えた。
参拝を終え車に戻り箱根を周遊しながら景色を満喫する。最後に小田原に寄り、海鮮を食べて帰ってきた。
とても充実した1日だった。アパートに着き車を駐車場に止める。まだ一緒に居られるのだろうか?敢えて聞かずに一緒に部屋に帰る。
「 運転お疲れ様 お茶いれますか?」
手洗いしている神崎さんに、まだ一緒にいて欲しいと願いながら声を掛けた。
「 うん、ありがとう。風呂も入りたいな 温泉に入ってくれば良かったかな 、今度は日帰り温泉行ってみようか? 」
「 そうですね!行ってみたいです 」お茶のお湯を沸かしながら、お風呂の湯船にお湯を入れた。
「 これ、良かったら使って下さい」
袋から出しながら「 何?寄木細工のポールペン?へぇ珍しいね いつの間に買ったんだ ありがとう 会社で使うよ 」と喜んでくれた。
お茶を入れ 一息つくと、お風呂も沸いたお知らせ音が聞こえた。
「 一緒に入ろう」
「 えっ一緒にですか?」
「 恥ずかしがるなよ、もう体験済だろ?」
「体験しても 恥ずかしいに決まってるじゃないですか…… 私が先に入るので、呼んだらきてくださいね 」
「 いいのか? 」
「 えっ?」
「 イヤ 何でもない 呼んでくれるんだろ
まだ行かないから一緒に入るぞ 」
「 待ってて下さい! 呼びますから 」
ドライブで疲れているはずなのに、今日はまだ終わっていなかったようだ。