いつまでも…片想い  若葉色

  12月4日 金曜日 同期会があり、エントランスで綾乃と待ち合わせた。
初めてのお店で個室に通されると、もう5人来ていて飲み物を選んでいた。

「お疲れー」「お疲れさまー」

「あとは中西だな、さっき遅れるかもって連絡あった 」

「そうなんだ、いつも忙しそうだね。
北島さんいつも幹事ありがとう 」と会費を渡す。

 乾杯をしてすぐに中西も駆けつけた。

 毎度の如く会社の話題が多いが、クリスマス 年末年始の話題になった。

「 イルミネーション素敵だよねー 今度観に行くんだよね?」 と嬉しそうに北島さんと付き合っている茉奈ちゃんが言う。
「綾乃も 行くんだよね?」 私が聞くと

「そう、日中は房総ドライブしてそのあとイルミネーション観て帰って来ようかと思ってる」

「 人気のところだよね いいなぁ 」

「 駅前もキレイで観に行きたいけど 幸せそうな2人ばっかりだから、一人身には辛いのよね」悠華ちゃんが言う。

「 今日のメンバー 、一人身は半分?このあとみんなで観に行く?」吉沢さんが誘ってくれる。

 私は一人身なのだろうか?付き合ってると思ったいたが確認していないので、わからない。

「 彼氏の振りしてくれるなら、いいよ …なんてね。 観たいから行く! 」悠華ちゃんは張り切ってる。

「じゃあ オレと山内で カレカノになろうか?」

「カレカノにならなくていいよ 、行くし…」

「 なってやるのに 恥ずかしがるなよ」

「 恥ずかしがって無いよ…」

「彼氏いないんだろ?」

「 彼氏ではないかもしれないけど好きな人はいるもん」

「えっー誰だよ!社内か?」

「 社内どんな奴なんだ?」

「 どんなだろう?格好いいかもしれないけど、ちょっと挨拶しただけだし、七海もそれほど会えないみたいだからよくわからない 」

「ふーん なかなか会えないならオレの方がオススメだろ?毎日でも会えるしな」

「……………………」何も言えずに中西をじっと見る。心の中では ‘’だって仕方ないじゃない!すきなんだから‘’と呟いた。

「ほらっ 返事はいつでもいいから、食べろ!山内最近元気ないだろ?沢山食べていいからな 」と料理を進めてくれるが最近それ程食べられない。

「 もう沢山食べたよ、 中西食べなよ」

「 そうか?ならその唐揚げ頂戴」と私のお皿を指す。

「いいよ」

「サンキュー」と言いながら美味しそうに食べる。

 最後はアイスのデザートも付いていたので満足だった。アルコールもセーブしたのでそれ程酔ってはいないだろう。

 お開きの時間になった、みんなで席を立つ。綾乃から声を掛けられた「これから拓馬が迎えに来るから一緒に帰る?送ろうか?」

「 イルミネーション観てからオレが送るからいいよ 」私が答える前に中西が答える。

「一人でも大丈夫、帰れるよ」と言ってもスルーされた。

 今度は小さな声で「明日、本当に何も予定が無いなら連絡してね 。一緒にお祝いしよ!」

「うん ありがとう」と素直に答えた。

 お店の外へ出ると腕を捕まれた。

 びっくりして振り向くと、神崎さんがいた。なんでいるの?

「話しがあるから、一緒に来て」真顔で神崎さん言う。

「これからみんなでイルミネーション観に行くから一緒には行けない 」と首を横に振った。
 
「オレと明日観に行きたかったんだろ?」

「そうよ!でも行けないんだからいいじゃない」手を振り払った。

 みんなと合流しようとすると 後ろから「こいつ酔っているようなので、連れて帰ります」と神崎さんは勝手にみんなに告げる。 みんなも驚いていた。

「 大丈夫なのか?」と中西がきくので、

「 大丈夫」と答えた。

「神崎さん こんばんは」と綾乃が挨拶をした。

「こんばんは」と神崎さんが応え

 みんなは察したようで「じゃあ またな」と駅前へ歩いて行った。

「 彰汰か?」福原さんが声を掛けてきた。

「 拓馬?」2人顔を見合わせる。

「 高校の同級だよ」 福原さんは綾乃と私に告げる。

「 彰汰、ちょっと2人だけでいいか?」

「 逃げるなよ 」と神崎さんが私に言うと福原さんに駆け寄った。

 綾乃と2人で待っていると すぐに戻って来た。

「帰るぞ」逃げないのに手を繋がれた。初めて手を繋ぐのはもっとロマンチックを描いてた。現実は違うなーと冷静な自分もいた。

「きちんと話しなね おやすみ」

「 おやすみ」
と2人と別れた。
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