Sweet break Ⅳ
①プロローグ
『どうした?早くしろ』
目の前に差し出された大きな手をみつめ、息を飲む。
その手の持ち主は、常に隙を見せない同じ課の同僚且つ同期で、今は(一応)恋人でもある、関諒太。
今日はお互いの時間が取れて、久しぶりに休日デート。
大型ショッピングモールの入り口で、今からまさにそれがスタートしようという時。
『関君、手…繋いでも良い…かな?』
つい1分ほど前に、なけなしの勇気を振り絞って、そうお願いしたのは私の方。
関君は、一瞬眉がピクリとしたような気がしたけれど、これといった動揺も見せず、ただ黙って自分の手をこちらに向けて差し出してくる。
てっきり強引に繋いでくれるものだとばかり思っていた私は、関君と関君の手を交互に見ては、戸惑いを隠せない。
『え~っと、これは…もしかして、私の方から…と?』
『当たり前だ』
関君は、そんな私を冷ややかに見つめてから、小さく息を吐く。
『理由を言った方が良いなら言うが…』
『いっいえ、大丈夫です』
即座に否定する。
だって、理由などわかりきっているから。
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