Sweet break Ⅳ
再びピタリと密着感が増すと、触れた関君のポロシャツから、微かに感じる波打つ心臓の音が、緊張しているのは自分だけでは無いんだと、安心させてくれる。
『あの…関君?…でもこれって私、役にたってる…って、言えるのかな?』
『言えるだろ?少なくとも、俺の今日半日で蓄積された疲れは、だいぶ薄れた』
『え、本当?』
これっていわゆるヒーリング効果…みたいなものなのだろうか?
何もしていないのに、関君の疲れが軽減するなんて…
『私のハグの力ってすごい』
『…おい。さっきも言ったが、これは俺にしか効果ないからな』
『うん?わかってるよ』
『ホントかよ』
関君に窘められるも、関君以外の人に、こんな風にされることなど想像もできない。
それよりこの効果は双方に起こるものなのだろうか。
夏用の薄地から直接伝わる関君のぬくもりが堪らなく心地良く、胸元に触れた手で、そっとポロシャツの布地を掴んでみる。
『倉沢』
ふいに頭上から、関君の声が、静かに降ってきた。
『お前、誰と何をそんなに比べているのかしらないが、仕事は技術や能力だけじゃない。倉沢はうちの課で、それ以外にも重要な役割を担ってる』
『…重要な役割?』
『ああ。自分では気付いていないだろうが、社内にいると仕事に追われがちで余裕のない人が多い中、お前は課内の空気を常に流れの良いものに循環してくれてる。大げさじゃなく、そこにいるのといないのとじゃ、場の空気が違って見えるほど』
”常に助けられているのは、むしろ私たちの方なんです”
落合さんの言ってたことが脳裏に浮かんだ。
『その役割は誰もが担えるものじゃない。残念ながら、俺や落合のような人間には到底出来そうにない…そういう意味じゃ、簑島の方がこの能力に長けているといえるかもしれないな』
『あの…関君?…でもこれって私、役にたってる…って、言えるのかな?』
『言えるだろ?少なくとも、俺の今日半日で蓄積された疲れは、だいぶ薄れた』
『え、本当?』
これっていわゆるヒーリング効果…みたいなものなのだろうか?
何もしていないのに、関君の疲れが軽減するなんて…
『私のハグの力ってすごい』
『…おい。さっきも言ったが、これは俺にしか効果ないからな』
『うん?わかってるよ』
『ホントかよ』
関君に窘められるも、関君以外の人に、こんな風にされることなど想像もできない。
それよりこの効果は双方に起こるものなのだろうか。
夏用の薄地から直接伝わる関君のぬくもりが堪らなく心地良く、胸元に触れた手で、そっとポロシャツの布地を掴んでみる。
『倉沢』
ふいに頭上から、関君の声が、静かに降ってきた。
『お前、誰と何をそんなに比べているのかしらないが、仕事は技術や能力だけじゃない。倉沢はうちの課で、それ以外にも重要な役割を担ってる』
『…重要な役割?』
『ああ。自分では気付いていないだろうが、社内にいると仕事に追われがちで余裕のない人が多い中、お前は課内の空気を常に流れの良いものに循環してくれてる。大げさじゃなく、そこにいるのといないのとじゃ、場の空気が違って見えるほど』
”常に助けられているのは、むしろ私たちの方なんです”
落合さんの言ってたことが脳裏に浮かんだ。
『その役割は誰もが担えるものじゃない。残念ながら、俺や落合のような人間には到底出来そうにない…そういう意味じゃ、簑島の方がこの能力に長けているといえるかもしれないな』