Sweet break Ⅳ
『…君も』
『ん?』
『関君も、私がいるのといないのとじゃ、違う?』

大胆にも関君の腕の中で、関君の気持ちを確かめるような質問をしてしまう。

『俺か…俺は』

何故かその答えを言い淀むと、そのまま少し考えるような沈黙が続く。

もしかしたら、答えづらい質問だったのかもしれない。

なにせ関君にしたら、私がいようが居まいが、なんら仕事に影響がある訳がないのだから。

”やっぱり今の質問は無しで”

そう言おうとした瞬間、不意にいつもの…社内で呼ばれる呼び名ではなく、私の名前を呼ばれた。


『…朱音』


ドキッ

『俺の答えが知りたいんだよな?』
『う…うん』
『教えてやるから、こっち向けよ』
『!?』
『ほんの少し、顔を上げるだけだ…できるだろ?』

その甘く囁くような声音に、一瞬ここが会社なのを忘れてしまいそうになる。
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