Sweet break Ⅳ
関君の腕の中にいると分かっていても、直接顔を見ていない状況でなんとか保っている心臓が、これ以上は持ちそうにない。

なにより、さすがに恋愛初心者の私だって、関君がどうしてそんなことを言うのか、その先に何が待っているのか、分からないほど幼くはない。

ダメだ…今の私のキャパシティーでは、ここまでが限界かもしれない。

『む、無理、無理です…』

思わず関君のシャツを掴む手に力が入ると、関君の手が下を向く私の頭上に置かれ、そのままゆっくり髪を滑らせる。

背筋にゾクッと電気が走ったような感覚。

グッと顔が近づいた気配がした途端、私の耳に関君の息がかかる。

『…なら、俺の方から行こうか?』
『っ!?』

その瞬間、関君の胸を両手で強く押し返し、はじかれるように腕の中から飛び離れる。

『ごめんっ』

ホッとしたのと同時に、突き放してしまった罪悪感で直ぐに後悔する。
< 104 / 145 >

この作品をシェア

pagetop