Sweet break Ⅳ
記念すべき関君と撮った初めての写真を、大事にデータ保存すると、『行くぞ』と改札口に向かう後ろを追いかけた。

『あれ?このまま乗って行かないの?』
『…ああ。ここから会場まで、海岸通り沿いにもいくらか出店があるらしい。まだ外は明るいし、そう暑くもないから、少し歩かないか』

祭りの本会場までは、二駅ほどあるけれど、海沿いの道を歩けばそう遠くは無いとのこと。

折しも関君と、夕日に沈む海を眺めながらのお散歩デートとか、願ってもない提案だった。

『もし歩くのがしんどいなら』
『歩くっ!ううん、歩きたい!歩こう、関君』

思いがけず実現した憧れのデートシチュエーションに、全身で喜びを表現してしまうと、関君に『子犬かよ』と笑われる。

私、どうかしてるのかもしれない。


笑われているのが自分であるにも関わらず、全然不快に感じないなんて。

しかも、職場では絶対見せることのないその笑顔をもっと見られるなら、笑われるくらいどうってことないなんて、もはや重症なのかもしれない。
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