Sweet break Ⅳ
『そういう意味でいえば、朱音も落合さんも、ある意味他の女性社員すべて、同じ立ち位置だって言ってもいいくらいよ』
確かに、現状を言えば、関君とは一緒に映画を見たり食事に行ったりはしているけれど、それ自体はただの友人だって、できると言われればそうかもしれない。
いわゆる一般的に言う、”恋人としてしかできないこと”は、何一つクリアしていないのだから。
『朱音、今何月よ?』
『7月…です』
『あの関君と奇蹟的に付き合えて、もう4ヶ月も経つのよ?遠距離ならともかく、毎日顔会わせてて、キスどころか手さえ繋げないなんて…』
溜息まじりに、『小学生の交際じゃあるまいし』とピシャリ。
紗季の説法があまりにも理にかなっていて、ぐうの音も出なくなる。
『…それは、わかってる』
あからさまに落ち込む私に、紗季が急に優しい声音になり『厳しいこと言うようだけど』と、前置きしてから先を続ける。
『今の朱音より身近にいるのが彼女だとすれば、心が動かない保証は無いかもよ』
確かに紗季の言う通り、関君は”気にしなくていい”って言ってくれたけど、関君の優しさに甘えていて、のんびり構えているうちに、気持ちが離れていかないとも限らない。
ましてや、落合さんのように、四六時中一緒に行動するような女性が身近にいるとなれば、尚更…。