Sweet break Ⅳ
”続きは週末だ。いいな?”
去り際に言われたセリフを思い出せば、一気にその”続き”に意識が向かってしまう。
そんなこちらの動揺など、気にもしていない様子の関君は、腕時計の時刻を確認すると『ギリ間に合いそうだな』と独り言ちる。
最後のカーブを曲がり、いよいよ頂上付近までくれば、その目的地が見えてきた。
『公園?』
『ああ』
そこは所謂地域の中にある公営の公園のようで、住宅街の中にあるものにしてはかなりの大きさのよう。
入口もいくつかあるのか、今いる目の前の入口には【第4公園駐車場入口】と書いている。
『メインゲートは、ずっと下の海岸沿いにある。こっちの入口はほとんど地元の人しか使っていないらしい』
確かに関君の言う通り、駐車場には何台かの地元の人らしき車と、バイクや自転車が置いてあり、まばらにいる人も、”祭りにやって来た人”というよりも、自宅から着の身着のままふらりとやってきたような人が多いみたいだった。
関君について公園内に入り、足元にある小さなライトをたよりに奥に進むと、急に開けた広場に出る。
テニスコート3個分ほどの広さのそこは、海側にある鉄製の柵が左右に連なり、その眼下には、鎌倉の街並みと海、遠くは江の島まで望むことができそうだった。
広場内は、本会場のような混雑ではないものの、多くの人達が、花火の打ち上げ時刻を待っていた。