Sweet break Ⅳ
カサッと足元の草を踏む音がして、関君が一歩こちらに近づく気配がした。
『そんな訳ないだろ』
低く和らかな声でそう呟くと、関君の手が、私の髪に触れる。
その瞬間ビクリと反応してしまうのは、無意識の所業。
『いい加減、慣れてくれ…我慢にも限度がある』
関君の困ったような、それでいて苦しそうな声音に、精一杯の勇気を振り絞り、今度は自ら関君に歩み寄り、その胸に身を預けてみた。
一瞬私の行動に躊躇いを見せるも、嫌じゃないことが伝わったのか、そのまま受け止めてくれる。
白いシャツから漏れる鼓動は、私と同じでずっと早音を打ってる。
もう、言葉では言い表せないほどの”好き”の感情が溢れて、この想いをどう伝えたら良いのか分からない。
『…朱音』
私の名を呼ぶ甘く優しい声がすぐそばで聞こえ、抗えない力に導かれるように、ゆっくり顔を上げると、私を見つめる関君と視線が合う。
いつもと違う関君の熱い眼差しから、もう視線を逸らせない。
途絶えることない胸の鼓動が、互いにこの先の未来を予知する。
ヒュ~……
唐突に暗闇を割くように、長く甲高い打ち上げ音と共に、海岸から夜空に、一光が走るも、もう意識は目の前の関君のことで一杯になる。
『…悪いな。ラストの花火は見せられそうにない』
身をかがめ近づく関君の気配に、ゆっくりと目を閉じた。
複数が一斉に弾ける、火薬玉の音。
目を閉じていても眩しい程、光の中にいるのがわかる。
いくつもの花火の連打の中、触れた唇は想像していたよりも熱く柔らかな感触。
恥ずかしさのあまり一瞬触れて、下を向きそうになるも、関君がそうさせてはくれない。
『…まだだ』
足りない…とばかりに、顎を掬われ、もう一度唇を奪われる。
時差で聞こえる連弾の音と、遠く海岸から湧き上がる歓声。
ずっと不安だった関君の想いを知った、夏の終わり。
交際半年経って、初めて両想いになれた気がした。
『そんな訳ないだろ』
低く和らかな声でそう呟くと、関君の手が、私の髪に触れる。
その瞬間ビクリと反応してしまうのは、無意識の所業。
『いい加減、慣れてくれ…我慢にも限度がある』
関君の困ったような、それでいて苦しそうな声音に、精一杯の勇気を振り絞り、今度は自ら関君に歩み寄り、その胸に身を預けてみた。
一瞬私の行動に躊躇いを見せるも、嫌じゃないことが伝わったのか、そのまま受け止めてくれる。
白いシャツから漏れる鼓動は、私と同じでずっと早音を打ってる。
もう、言葉では言い表せないほどの”好き”の感情が溢れて、この想いをどう伝えたら良いのか分からない。
『…朱音』
私の名を呼ぶ甘く優しい声がすぐそばで聞こえ、抗えない力に導かれるように、ゆっくり顔を上げると、私を見つめる関君と視線が合う。
いつもと違う関君の熱い眼差しから、もう視線を逸らせない。
途絶えることない胸の鼓動が、互いにこの先の未来を予知する。
ヒュ~……
唐突に暗闇を割くように、長く甲高い打ち上げ音と共に、海岸から夜空に、一光が走るも、もう意識は目の前の関君のことで一杯になる。
『…悪いな。ラストの花火は見せられそうにない』
身をかがめ近づく関君の気配に、ゆっくりと目を閉じた。
複数が一斉に弾ける、火薬玉の音。
目を閉じていても眩しい程、光の中にいるのがわかる。
いくつもの花火の連打の中、触れた唇は想像していたよりも熱く柔らかな感触。
恥ずかしさのあまり一瞬触れて、下を向きそうになるも、関君がそうさせてはくれない。
『…まだだ』
足りない…とばかりに、顎を掬われ、もう一度唇を奪われる。
時差で聞こえる連弾の音と、遠く海岸から湧き上がる歓声。
ずっと不安だった関君の想いを知った、夏の終わり。
交際半年経って、初めて両想いになれた気がした。