Sweet break Ⅳ
『…お前ら、何してるんだ?』
唐突にかけられた声で、実験タイムは早くも終わりを迎えてしまう。
目を開き、声のする方を振り向けば、給湯室の入り口に立つ関君。
『あ、関君』
『ッ!?』
呑気な声が自分の口から零れたと同時に、未来君が声にならない悲鳴のような声を発すると、次の瞬間、機関銃のように話し出した。
『関さんっ、あの、違いますよ。ご、ご、誤解ですからねっ!これは、その、実験で、頭の上に、手を、朱音さんが…』
未来君が、何やらパニクって、懸命に説明しようとするも、むしろ伝えたいことが何なのか、さっぱり分からない。
『…実験』
未来君の発したワードをそのまま声に出したのは、入口に立つ関君ではなく、そのすぐ後ろに立っていた落合さんだった。
彼女の顔は何故か強張り、眉間に皺をよせ、見ようによっては泣くのを必死に堪えているようにも見える。
…これは、誤解を招いたのかもしれない。
『落合さん、あのね、これは私が未来君にお願いをして…』
誤解を解くために、丁寧に説明しようとする間も与えられず、落合さんが踵を返して走り去ってしまう。
『あ…落合さん、待っ』
『待てよっ、誤解だって、那智っ!!』
慌てた未来君も、そのまま烈火のごとく部屋を飛び出し、落合さんの後を追っていく。
まるで先日のデジャヴのようなシチュエーションに、ボー然とあっけにとられるも、この前とは明らかに違う、いくつかの点。