Sweet break Ⅳ
『でも、未来君は私とは違う。課内でも、落合さんと違った面で人気も高いし』
『確かに、あの陽気さは重宝がられるわ』
『未来君は職場の雰囲気を明るくしてくれるからね』
彼は仕事の評価よりも、持ち前の明るさとコミュニケーション能力で、他課にも気に入られている。
そういう意味でも、総務課の新人二人は、今年の新入社員の中でも注目されているのは間違いなかった。
『最初はどうなるかと思ったけど、サポートするのが未来君で良かったよ』
つい口から出た素直な言葉に、何故か紗季がピクリと反応する。
『朱音…』
紗季が、寄りかかってた窓から背を離すと、グッと近づいて、真剣な顔つきで話し出す。
『もしかして可愛い年下君に、気持ち動いてたりなんてないでしょうね?』
『未来君に?』
『噂で、聞いたのよ。最近、朱音と新人君が仲良すぎてるって』
『まさか!ある訳ないよ』
予想外の疑いをかけられ、慌てて強く否定すれば、案外直ぐに疑いの眼差しからは解放してくれる。
『だよね。ま、私も、正直さすがにそれは無いだろうって、思ってたけどね』
『当たり前でしょ』
『…問題は朱音の方より、関君の方よ』
『関君?』
『朱音、関君とは、うまくいってるんでしょうね?』
紗季はテーブルの上に置いてあったカップを手に取り、残ってたアイスコーヒーを飲み干すと、改めて小声になる。