Sweet break Ⅳ
『別にって、顔してないな』
『…出張…なんだってね、落合さんと』
『ああ、落合に聞いたのか。そうだ。偶然今回営業一課がやってる展示会が、落合が受けた仕事に役立ちそうなものだったから、急遽連れて行くことになってな』
淀みなく答える関君に、一つも嘘はないのだろう。
でもそれは、まるで言い訳のように聞こえてしまい、ますます気持ちが沈んでしまう。
『…』
『何だ、言いたいことがあるなら言えよ』
『…別に何も』
『無いわけ無いだろ?』
私が最後まで言い切る前に言われ、隣の関君を見れば、真顔でこちらを見据え、眉間にしわを寄せるその表情には、いつもの余裕が無いようにも見えた。
『…週末会えない分、余計気になる』
小さく独り言のように聞こえた言葉は、相手が関君なのに、まるで拗ねた子供のようにも聞こえた。
『…それって、仕事に支障をきたすぐらい?』
『それはない』
そこはきっぱりと答えるところが、やっぱり関君だ。
『ふふっ』
『おい、何笑ってる?』
それでも、意外にも会えなくなってしまった週末に、関君も自分と同じように、気にかけてくれてくれているのだと知って、単純に嬉しくなる。