Sweet break Ⅳ
『どういう意味?』
『彼女、向こうで体調崩したらしいじゃない』
『どうして紗季がそれ知ってるの?』
『向こうにいる須賀君に探りを入れてみたのよ。落合さん、今日も休んでるんでしょ』
『うん…ただの風邪らしいけど』
『須賀君の話じゃ、土曜日の展示会の後、一課のメンツが関君達を食事に誘ったけど、落合さんの体調が優れないからって断られたって』
『それは、関君トレーナーだし、さすがに体調崩した落合さんを残しては行けなかったんだと思う』
その状況を考えれば、それは特別おかしな事でもなく、もし自分が関君の立場だったとしてもそうするに違いない。
それに、だからこそ一つしかないホテルの部屋を、体調の悪い彼女に譲ったのも、ごく自然な行動であって、そこには疑いの余地は無いはずだった。
『それじゃ朱音、関君って、そんな具合の悪い後輩をホテルの部屋に一人残しておけるような人?』
『…それは』
紗季に視線を逸らさずに聞かれ、思わず言葉が直ぐに出てこない。
実のところ、そこは自分もずっと引っかかってたこと。
知った場所ならまだしも、初めて行った見知らぬ土地で体調を崩したら、彼女がどんなにか不安だったろうと思うし、関君がそんな状態の彼女を、放って置けるような人じゃないのはわかってる。
そう考えると行きつく答えは一つしかなく、その先の想像をするにはあまりにも勇気が無さ過ぎた。
『ちなみに、営業1課が先週から泊ってるホテルは駅近だし、そこそこ広いロビーとかあるらしいけど、関君達が泊まったホテルは市街地から外れた小さなビジネスホテルで、そんなスペースとか全く無いし、それこそ歩いて行ける距離に、深夜まで営業してる店なんか無いって話よ』
さすが日々男性社員と肩を並べ、並みいるベテラン勢に引けを取らない程の営業成績を叩き出している紗季のリサーチ力には、強い信頼と説得力がある。
それは時に、悲しいくらい真実の答えを導き出していた。
『彼女、向こうで体調崩したらしいじゃない』
『どうして紗季がそれ知ってるの?』
『向こうにいる須賀君に探りを入れてみたのよ。落合さん、今日も休んでるんでしょ』
『うん…ただの風邪らしいけど』
『須賀君の話じゃ、土曜日の展示会の後、一課のメンツが関君達を食事に誘ったけど、落合さんの体調が優れないからって断られたって』
『それは、関君トレーナーだし、さすがに体調崩した落合さんを残しては行けなかったんだと思う』
その状況を考えれば、それは特別おかしな事でもなく、もし自分が関君の立場だったとしてもそうするに違いない。
それに、だからこそ一つしかないホテルの部屋を、体調の悪い彼女に譲ったのも、ごく自然な行動であって、そこには疑いの余地は無いはずだった。
『それじゃ朱音、関君って、そんな具合の悪い後輩をホテルの部屋に一人残しておけるような人?』
『…それは』
紗季に視線を逸らさずに聞かれ、思わず言葉が直ぐに出てこない。
実のところ、そこは自分もずっと引っかかってたこと。
知った場所ならまだしも、初めて行った見知らぬ土地で体調を崩したら、彼女がどんなにか不安だったろうと思うし、関君がそんな状態の彼女を、放って置けるような人じゃないのはわかってる。
そう考えると行きつく答えは一つしかなく、その先の想像をするにはあまりにも勇気が無さ過ぎた。
『ちなみに、営業1課が先週から泊ってるホテルは駅近だし、そこそこ広いロビーとかあるらしいけど、関君達が泊まったホテルは市街地から外れた小さなビジネスホテルで、そんなスペースとか全く無いし、それこそ歩いて行ける距離に、深夜まで営業してる店なんか無いって話よ』
さすが日々男性社員と肩を並べ、並みいるベテラン勢に引けを取らない程の営業成績を叩き出している紗季のリサーチ力には、強い信頼と説得力がある。
それは時に、悲しいくらい真実の答えを導き出していた。