Sweet break Ⅳ
時刻を見れば、13時半になろうという時間で、もう今日の執務時間の半分以上が過ぎようとしていた。

『起きたことは仕方ないよ。でも、どうしてもっと…』

”…もっと早く、相談してくれなかったの?”

そう続けようとして、押し黙る。

何を偉そうに、私は言えるのだろう?

ついさっきまで、彼が出社していないことさえ気付いていなかったくせに。

未来君が須賀君に任された仕事を、実直に取り組んでいたのは、私が一番よく知っている。

責められるべきは、未来君じゃない。

『朱音さん?』

仕事のことよりも恋愛沙汰に現を抜かし、担った責務を怠っていた不甲斐無い自分の方だ。

『未来君、私の方こそごめん…この件はもっと私も関わって、きちんと確認すべきだった』
『やめてください。朱音さんが謝るようなことは何も無いです。全部俺が』
『ううん、これはトレーナーである私の責任でもあるから』

もう一度現時刻を確認して、すぐに気持ちを切り替える。

『とにかく、まだ明日まで時間ある。今から二人で手分けしてやろう』
『でも、このデータ量は…』
『未来君、明日の朝までなら、まだ20時間近くあるよ。この際もっとポジティブに考えよう』

私の言葉に、唖然とする未来君を前に、そう意気込んだ。
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