Sweet break Ⅳ
未来君が言うように、彼が2週間の時間をかけてデータ化した量を、今から、”二人で”とはいえ、無謀に近い。

それでも、社内でも目立たない、雑用全般を担うだけの私たち(庶務)を頼ってくれた須賀君の為にも、諦めたくはなかった。


『簑島、資料見せてみろ』


唐突に真後ろから声がして、その声に振り返れば、いつの間にいたのか、さっきまで姿が見えなかった関君が、落合さんと共に立っていた。

『え…あ…資料?』

未来君はいきなり現れた関君に戸惑い、一瞬対応に躊躇する。

『何ボウっとしてる。須賀が手書きで書いた資料のことだ。まさかそれまで失くしたわけじゃないだろ』
『あ、はいっ。それはもちろんっ』

慌てて持っていた鞄の中から、須賀君から預かっているデータ化にする前の資料の束を出すと、関君がそれを受け取り、ざっと目を通している。

『関君、何を…』
『それも資料か?』
『いえ、これはデータ入力する前に、須賀さんの資料を僕なりにまとめたもので…』
『見せてくれ』

私の問いかけは完全に無視され、未来君が持っていたもう一つのクリアファイルに手を伸ばす。
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