揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
手探りで始まった鈴の大学生活だが、幸いなことに、クラスですぐに、気の合う友人が出来た。


彼女達にサークル選びで悩んでいると、相談すると


「先輩から聞いた話だけど、サークルは部活と違うから、最初は興味がありそうな所に、複数登録して、そこから絞り込むっていうのもありらしいよ。」


「うん。実際にサークル掛け持ちしてる人、結構いるって聞くし。」


とアドバイスされた。目からうろこの思いをした鈴は、いくつかのサークルに登録し、新歓コンパに出てみて、そのサークルの雰囲気を確かめてみた。


そうした中で結局、鈴が選んだのは英会話を真面目に学ぼうとするサークルだった。


ESSと通称される語学系サークルは、どの大学にも存在する。ただ、英語の勉強は建前で、実態は単なる呑みサークル化しているところもあるから要注意。ネットでそう書かれている記事を見て、鈴も慎重に様子を伺っていたのだが、どうやらキチンと真面目に活動しているサークルだったので、正式に入会した。


「ESSに入ったんだぁ。まぁ鈴らしいというか、なんと言うか・・・。」


怜奈に報告すると呆れ半分、感心半分でそう言われたが、勉強は勉強、呑み会や各種イベント事もキチンと楽しむというメリハリが効いている活動内容が気に入ったし、社会に出てから、役立つスキルを身に付けなさいという母親の言葉にも応えられるということで決めた。


サークルの先輩達からのアドバイスももらい、履修届も無事提出し終わり、鈴のキャンパスライフは軌道に乗り始めた。


そんな中、鈴は1人の女子に出会った。石川梨乃(いしかわりの)というその子は、鈴から少し遅れて、サークルに加わった。


テニスサークルとの掛け持ちという彼女は、活発な女子で、先輩にも物怖じせずに接して、可愛がられ、サークル活動には真面目に取り組んでいたけど、その後の呑み会でも、まだ未成年で自分は呑めないのに、賑やかに振る舞っていた。


これまで怜奈を初めとした、どちらかというと自分と同系統のおとなしめの友人が多かった鈴。これまでだったら、敬遠してたタイプだったが、グイグイと遠慮なく近づいて来る梨乃が苦痛ではなく、いつしかかつての怜奈とのように、一緒に行動することが増えていた。


恋愛についてもあけすけで


「高校時代の彼氏とは別れたよ。だって、大学入って、自分の世界が広がったのに、もったいないじゃん。」


あっけらかんと、そんなことを言う梨乃に、鈴は驚くと同時に、少し憧れの思いも抱いた。
< 10 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop